
【属人化の解消】システム開発・情シス向け実践的な5ステップを解説
システム開発の現場や情報システム部門が取り扱う業務では、専門性の高さやレガシーシステムの利用、情報共有の不足などが原因となり、属人化が発生しやすい傾向があります。
属人化が進行すると、生産性の低下や担当者への負担集中など組織全体へさまざまな影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
一方で、属人化には業務を迅速に進めやすいといった側面もあり、単純に悪いものとは言い切れません。重要なのは、特定の担当者へ過度に依存しない体制を構築し、知識やノウハウを組織へ蓄積していくことです。
本記事では、システム開発や情報システム部門における属人化の意味や原因、メリット・デメリットに加え、属人化を解消するための具体的な方法についても解説します。
目次
属人化とは業務がブラックボックス化した状態
属人化とは、業務を担当している社員のみが業務内容を把握し遂行できる状態です。業務のブラックボックス化とも呼ばれ、担当者の休職や退職が発生すると業務が停滞する可能性があり、問題視されています。
システム開発の現場や情報システム部門の業務においては、特定の担当者が抜けることでシステムの改修や障害対応に支障が出るなどの懸念があります。
属人化は再現性の低下を引き起こすため、業務の標準化により属人化させない仕組みづくりが重要です。
属人化がもたらすメリット・デメリット
属人化には業務の専門性を高めやすいなどのメリットがある一方で、特定担当者への依存による業務停滞や生産性低下といったデメリットも存在します。
長期的には組織運営上のリスクにつながる可能性もあるため、メリットとデメリットを把握しておくことが重要です。
属人化がもたらすメリット
属人化にはネガティブなイメージがあるものの、状況によっては一定のメリットにつながる場合があります。
- 業務を迅速に進めやすい
- 品質を安定させやすい
- 専門性を高めやすい
例えば、特定の担当者がシステム仕様や業務フローを深く理解していることで、意思決定やトラブル対応を迅速に行えるケースがあります。情報共有や確認工数を減らせるため、短期的には開発スピードや対応速度の向上につながることもあるでしょう。
また、高度な専門知識や技術を持つ担当者が中心となることで、品質の安定や技術力向上につながる場合もあります。
一方で、専門性の高さと属人化は混同されやすいため注意が必要です。例えば、専門性を持つスペシャリストと、特定個人に業務が依存している属人化は異なる状態を指します。
スペシャリストは知識や技術を組織へ共有できる状態である一方、属人化は担当者しか業務内容を把握できていない状態です。
そのため、一時的な効率化につながる場合があっても、過度な属人化には注意が必要です。
属人化がもたらすデメリット
属人化が進行すると、特定の担当者へ業務や知識が集中し、組織全体へさまざまなリスクをもたらします。
- 組織の生産性の低下
- 求職や退職による業務の停滞
- 引き継ぎや教育の困難化
- ナレッジやノウハウの未蓄積
- 担当者の過労
担当者への依存が強まることで、生産性低下や業務停滞、引き継ぎにおける課題などにつながる可能性があります。
また、ノウハウが組織内に蓄積されにくくなることで、同じ問題が繰り返される原因となる点にも注意が必要です。
特定の担当者に業務が依存するデメリットについては、下記の記事でも詳しく紹介しているのでご覧ください。
関連記事:プロジェクトの炎上はなぜ起きる?エースが潰れる構造と防ぐための対策
属人化しやすい原因
業務の専門性の高さや情報共有不足、レガシーシステムの存在など、さまざまな要因が属人化を招く原因となります。
特定の担当者しか業務内容を把握していない状態が続くと、引き継ぎが困難になり業務停滞やブラックボックス化につながる可能性もあるため注意が必要です。
業務の専門性が高いため
業務の専門性が高い場合、属人化の原因となるケースがあります。
とくに高度な技術を必要としたり特定のエンジニアしか対応できない業務が発生したりするシステム開発においては、属人化が起こりやすくなるでしょう。
属人化が発生すると特定の社員に業務が集中し、負担が偏りやすくなります。その結果、その担当者に依存する構造が生まれ、異動や退職などが発生した際に業務が進まなくなるという悪循環に陥る可能性がある点にも注意が必要です。
エースエンジニアに依存した結果、発生するデメリットについては、下記の記事でも詳しく紹介しています。
関連記事:プロジェクト掛け持ちの限界はなぜ起きる?体制設計で防ぐ方法
情報を共有する仕組みが整っていないため
社内に業務プロセスやノウハウを情報として共有する仕組みが整っていない場合も、属人化を招く原因となります。
例えば、ドキュメントの保管場所やルールが定まっていない、マニュアルを残す文化がないといった場合、社内にノウハウが蓄積されず担当者以外に誰も対応できない状態に陥ってしまうでしょう。
また、担当者の多忙によりドキュメントやマニュアル作成に時間を充てられないケースも少なくありません。
属人化を防ぐためには、マニュアルやドキュメント作成の重要性を認識したうえで、情報を共有するための仕組みを整えていくことが重要です。
レガシーシステムにより業務の把握が困難なため
古い技術や仕組みで構築されたレガシーシステムの使用が、属人化の原因となることも少なくありません。
長年運用されてきたシステムでは、設計書や仕様書が更新されておらず、実際の挙動を理解している担当者が限られているケースがあります。その結果、特定のエンジニアしか改修や障害対応ができない状態に陥りやすくなります。
また、古い技術や独自仕様により対応できる人材が限られることで、システムのブラックボックス化が進行する点にも注意が必要です。
属人化を防ぐためには、仕様やドキュメントの整理に加え、ナレッジ共有やコードレビューを通じて特定の担当者へ知識が集中しない体制を整えましょう。
属人化の解消に向けた5ステップ
特定の担当者へ依存している状態を把握したうえで、業務の手順や情報共有の仕組みを見直していくことが重要です。
単にマニュアルを作成するだけでは、根本的な解決にならないケースも多く存在します。属人化解消に向けた5ステップを参考に、組織全体で担当者に依存した体制の改善に取り組みましょう。
業務プロセスの可視化
属人化の解消に向けた第一歩は、業務内容を整理して可視化することです。誰が何をどのような手順で対応しているのか確認し、業務プロセスを明確にしましょう。
特定の担当者しか把握していない作業や判断基準を洗い出すことで、属人化が発生している箇所を把握しやすくなります。 また、タスク管理ツールや業務可視化ツールなどを活用すれば、業務状況や担当範囲の可視化が容易に叶うでしょう。
さらに、業務手順や対応フローを標準化することで、担当者による作業品質のばらつきを抑えることが可能です。
優先事項の決定
属人化を解消するためには、どの業務から改善するべきか優先順位を決めることも重要です。
例えば、以下の項目に該当する業務は優先的に見直す必要があります。
- 障害発生時の影響が大きい業務
- 特定担当者しか対応できない業務
- ブラックボックス化している業務
すべてを一度に改善しようとすると現場負担が増加し、かえって運用が停滞する可能性があります。そのため、影響範囲の大きい業務から段階的に進めることが重要です。
責任や権限の分散
業務の責任や権限を分散させるのも属人化解消のポイントです。
例えば、レビュー担当や運用担当を複数人で分担するなど、特定の担当者しか対応できない状態を避ける体制づくりが求められます。
また、定期的な業務のローテーションを取り入れることで、ノウハウをチームのメンバーへ共有しやすくなるでしょう。
属人化を防ぐためには、担当者個人ではなく組織で業務を支える意識が重要です。
マニュアルの作成と共有
属人化を防ぐためには、マニュアルやドキュメントを整備し、情報共有できる仕組みを構築することが重要です。
- システム仕様書
- 障害対応手順
- 開発ルール
- 運用フロー
これらを文書化しておくことで、担当者以外でも業務内容を把握しやすくなります。
また、作成したマニュアルを定期的に更新し、関係者が閲覧できる状態を整えることも重要です。ナレッジ共有ツールやドキュメント管理ツールを利用すれば、情報を一元管理しやすくなります。
継続的な見直し
属人化解消の対策は、一度実施して終わりではありません。組織変更やシステム改修により、時間の経過とともに再び属人化が進行するケースも少なくありません。
属人化の再発防止に向けて、以下の内容を定期的に見直しましょう。
- 業務分担の見直し
- ドキュメント更新状況の確認
- ナレッジ共有状況の確認
継続的に改善を繰り返すことで、特定の担当者への依存を防げます。また、安定した開発や運用体制を構築しやすくなるでしょう。
属人化を解消して特定の担当者に依存しない組織を作ろう
属人化は特定の担当者に知識やタスクが集中することで、業務停滞や生産性低下を招くリスクがあります。とくにシステム開発や情報システム部門が管轄する現場においては、ブラックボックス化したシステムや情報共有が不足した状態を放置すると、担当者の休職や退職などが発生した際に業務が進まなくなる可能性があるため注意しましょう。
属人化を解消するためには、業務プロセスの可視化や標準化に加え、マニュアル整備や情報共有の仕組みづくりが重要です。
ただし、人材不足やリソース不足により属人化解消に向けた対策を十分に進められないケースも少なくありません。そのような場合は外部パートナーやアウトソーシングの活用も有効な手段です。
外部の知見を取り入れることで、社内では気づかなかった属人化の原因や課題となっている業務の発見につながることもあるでしょう。
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