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システム内製化はなぜ失敗するのか?失敗パターンと判断基準を解説

システム内製化は業務効率化や開発スピードの向上といったメリットがある一方で、進め方を誤ると外注時より非効率になるケースも少なくありません。 

実際、「思ったより開発が進まない」「特定メンバーに依存している」といった課題に直面する企業も多く見られます。 

内製化の成否は、目的設計や体制構築、進め方によって大きく左右されます。本記事では、内製化に失敗する原因から判断基準、具体的な対策までを整理し、失敗を回避するためのポイントを解説するので参考にしてください。

目次

システム内製化に失敗する原因

DX推進の流れを受け、システム開発の内製化に取り組む企業が増えています。

内製化の体制や進め方を誤ると、開発効率の低下や品質のばらつきといった課題が生じるケースも少なくありません。本章では、内製化に失敗する主な原因を整理します。 

目的とゴールが定義されておらず正しく共有されていない

内製化を進めるうえで、目的とゴールの設定は最も重要なポイントです。

しかし、現場では「外注費を削減したい」「スピードを上げたい」といった曖昧な目的のままプロジェクトがスタートすることがあります。

目的が不明確な状態では、意思決定の基準が統一されません。その結果、部門ごとに優先順位が異なり、開発方針にズレが生じやすくなります。

また、ゴールが定量化されていないケースも散見されます。どの範囲まで内製化するのか、どの程度のコスト削減やリードタイム短縮を目指すのかが明確でないと、進捗の評価が難しくなります。

内製化を成功させるためには、目的とKPIを具体的に定義し、関係者間で共通認識を持つことが重要です。

最適なスキルや経験を持つ人材をアサインできていない

内製化は、人材の質と体制によって成否が大きく左右されます。

既存メンバーのみで体制を構築する場合、スキルや経験が不足することがあります。特に、アーキテクチャ設計やプロジェクトマネジメントの領域は、経験の差が成果に直結しやすいポイントです。

また、必要な役割が整理されていないまま人員を配置すると、責任範囲が曖昧になります。そのため、判断が遅れたり、品質にばらつきが出たりする原因になります。

採用や育成を含めた人材戦略を設計し、必要なスキルセットを明確にしたうえで体制を構築しましょう。

業務が属人化されて特定のメンバーに負担が偏る

内製化の初期段階では、特定のスキルを持つメンバーに業務が集中しやすくなります。負荷が偏った状態が続くと、業務の属人化が進みやすくなり、チーム全体の生産性が低下する恐れがあります。

例えば設計意図や実装内容がドキュメント化されていない場合、他のメンバーが業務に対応できません。仮に対応できる人材がいても、その人数は限定されるでしょう。そのため、開発スピードが遅くなる可能性があります。

また、特定のメンバーに依存した体制は離脱時のリスクも高くなります。継続的に安定して運用できる体制を構築するためには、情報共有や標準化を進め、属人化を防ぐことが重要です。

外注費用の削減に集中しすぎている

内製化を外注費削減の手段として捉えると、判断を誤る可能性があります。

確かに外注費は削減できる場合があるものの、その一方で採用や教育、マネジメントなどのコストが発生します。これらを考慮せずに判断すると、トータルコストが増加するケースもあります。

また、コスト削減を優先するあまり、品質管理やテスト工程が不十分になることも少なくありません。その結果、リリース後の不具合対応に時間とコストがかかるリスクが高まります。

内製化を進める際は、短期的なコストだけでなく、中長期的な投資対効果を踏まえて判断しましょう。

引き継ぎが不十分なまま内製化がスタートしている

外注から内製へ移行する場合は、十分な引継ぎが必要不可欠です。

設計意図や仕様の背景が共有されていないと既存システムの理解に時間がかかり、開発効率の低下につながるでしょう。

また、運用手順やトラブル対応のノウハウが引き継がれていない場合、障害発生時の対応が遅れるリスクもあります。

内製化を円滑に進めるためには、移行期間中に外注先と連携しながら知識を共有し、ドキュメントを整備しておくことがポイントです。

システム開発を内製化するメリット

システム開発の内製化にはコスト面だけでなく、組織力や事業戦略にも直結するさまざまなメリットがあります。

外注のコスト削減ができる

内製化することでベンダーに支払っていた開発費用を削減できます。特に、継続的に発生する改修や運用保守のコストは、内製化により最適化できるでしょう。

ただし、採用や教育、マネジメントにかかるコストも無視できません。短期的な削減だけでなく中長期でのコストバランスを意識することが重要です。 

社内にスキルが蓄積される

内製化を進めることで、開発に関する知識や経験が社内に蓄積されます。

外注の場合、ベンダー側にノウハウが残ります。そのため、社内に開発スキルは蓄積されにくいのが一般的です。一方で内製化では、自社の社員が開発プロセスを進めていきます。そのため、設計や実装、運用に関する知見が社内に蓄積されるでしょう。

内製化することで、社員のスキル向上にもつながり次の開発や改善に活かしやすくなります。 

業務効率化につながる

仕様変更や機能追加への対応スピードが向上する点も内製化のメリットです。

外注では見積もりや契約調整などのプロセスが必要になります。その点、内製であれば社内の判断で迅速に対応が可能です。そのため、ビジネス環境の変化に柔軟に対応しやすくなります。 

また、現場の業務理解をもとに改善を進められるため、業務効率の向上にもつながります。企業全体の競争力強化が期待できるでしょう。 

セキュリティが強化される

内製化は、情報管理の観点でもメリットがあります。

外注の場合、開発過程で機密情報を外部に共有する必要があるものの、内製であればその範囲を最小限に抑えられます。これにより、情報漏えいリスクの低減につながります。

また、セキュリティ要件を自社の基準に合わせて柔軟に設計・運用できる点もメリットです。

柔軟に対応できる

内製化により、仕様変更や優先順位の見直しに柔軟に対応できるようになります。

外注では契約範囲やスケジュールの制約があるため、小さな変更でも調整に時間がかかることがあります。一方で内製の場合、状況に応じて開発内容の見直しが可能です。

特に、事業の成長フェーズや新規サービスの立ち上げにおいては、柔軟性が大きな強みになります。

システム開発を内製化するデメリット

システム開発の内製化は多くのメリットがある一方で、体制や進め方によってはリスクも伴います。

特に、人材や品質管理の観点で課題が顕在化しやすく、準備不足のまま進めると期待した効果が得られないケースも少なくありません。ここでは、内製化を検討する際に押さえておきたい主なデメリットを整理します。 

採用や育成に注力する必要がある

内製化を進めるためには、必要なスキルを備えた人材を確保し、育成していく体制が必要です。

外注でベンダーに任せていた領域を自社で対応する必要があるため、採用活動や教育にかかる負担が増加します。 特に、アーキテクチャ設計やプロジェクトマネジメントのような専門性の高い領域は、人材の確保が難しい傾向があります。 

また採用できたとしても、即戦力になるとは限りません。一定期間の育成が必要になる可能性がある点に注意が必要です。

短期的な成果を求めすぎると、現場に負荷がかかりやすくなる点にも留意しましょう。 

属人化の恐れがある

内製化のデメリットとして、特定のメンバーに業務が集中しやすく、属人化を招く恐れがあります。

特に初期フェーズでは、経験のあるメンバーに依存した体制に偏りやすくなります。そのため、設計意図や実装内容が十分に共有されないまま開発が進むケースが少なくありません。

属人化が続くと担当者以外が対応できない領域が増え、チーム全体の生産性が低下します。また、担当者の離脱や異動があった場合に、開発や運用に支障が出る可能性もあります。

ドキュメント整備やレビュー体制の構築など、属人化を防ぐ仕組みづくりが重要です。

関連記事:プロジェクトの炎上はなぜ起きる?エースが潰れる構造と防ぐための対策

品質の担保が難しい

品質管理を自社で担う必要がある点も内製化のデメリットです。

外注の場合はベンダーの品質基準やレビュー体制に任せられるものの、内製では自社で設計・運用しなければなりません。そのため、基準が曖昧なまま開発を進めると、成果物の品質にばらつきが出ることがあります。 

また、納期やリソースの制約からテストやレビューが十分に行われないケースも見られます。結果、リリース後の不具合対応に時間とコストがかかるリスクが高まるでしょう。 

品質を安定させるためには、開発プロセスやテスト基準を明確にし、継続的に改善していくことが求められます。 

システム内製化の判断基準

システム内製化はすべての企業に適しているわけではなく、自社の状況に応じて判断することが重要です。

メリット・デメリットを理解したうえで自社が内製化に向いているか見極めることで、失敗のリスクを抑えられます。内製化を検討する際に抑えておきたい判断基準をお伝えします。

内製化に向いているケース

以下の条件に当てはまる場合、内製化が適している傾向があります。

  • 要件変更や機能追加が頻繁に発生する
  • 自社サービスとして継続的に改善していく必要がある
  • DXの推進を行っている
  • 開発スピードが競争力に直結する
  • 社内に一定の開発スキルや知見がある

 

このようなケースでは、内製化により意思決定のスピードを高めやすくなります。また、開発ノウハウを社内に蓄積できるため、中長期的な競争力の強化にもつながるでしょう。

外注の方が適しているケース

一方で、下記に当てはまるケースでは外注の方が適している可能性があります。

  • 要件が明確で変更が少ない
  • 開発が一度きり、または短期間で完結する
  • 社内に開発リソースや知見が不足している
  • 採用や育成に注力する余裕がない
  • 高度な専門技術を必要とする

 

このようなケースでは無理に内製化を進めるのではなく、外部の専門性を活用した方が効率的に開発を進められるでしょう。

内製と外注を組み合わせる

内製化か外注の二択ではなく、役割に応じて両者を組み合わせる方法も有効です。

例えばコア機能や企画にかかわる部分は内製化し、それ以外の開発や一部工程は外注することで柔軟性と効率を両立できます。

また、内製化の初期段階では外部の支援を受けながら体制を構築し、徐々に内製比率を高めていく進め方も現実的です。 

システム内製化の失敗パターン

システム内製化の進行中は問題が顕在化しにくく、気づいたときには生産性や品質に影響が出ていることも少なくありません。

ここでは、実務でよく見られる失敗パターンを整理します。

意思決定が遅くプロジェクトが進まない

内製化がうまく機能していない現場では、判断のスピードが低下しやすくなります。

仕様変更や優先順位の見直しに時間がかかる場合、判断基準や責任範囲が曖昧になっている可能性があります。また、特定のメンバーしか対応できない状態では、確認待ちが発生するなど意思決定が滞りやすくなるでしょう。

意思決定に時間がかかるとプロジェクトの進行が遅れ、現場の負担が増加します。

開発スピードが上がらず外注時より非効率になっている

内製化によって柔軟性は高まる一方で、 体制やプロセスが整っていないと開発効率が低下することがあります。

特に、下記のような状態が続くと外注を利用していたときよりも開発に時間がかかる可能性があるでしょう。

  • レビュー待ちや手戻りが多い
  • タスクの優先順位が頻繁に変わる

 

役割分担や開発フローが明確でない場合、 内製化に失敗しやすくなります。

システムの全体像を把握できている人がいない

内製化の失敗パターンとして、システムの全体像を把握できる人材が社内にいないという点が挙げられます。

特に内製化後に品質が安定しない場合、システム全体の理解が不足している可能性があるでしょう。

設計意図や仕様の背景が共有されていないと、開発者ごとに実装の判断が分かれ、成果物の品質にばらつきが生じます。また、影響範囲の把握に時間がかかり、改修のたびに調査コストが発生することもあるでしょう。 

システムの全体像を把握している人がいないと、不具合対応に追われる状態になり、開発効率の低下につながります。

システム内製化の失敗を避けるためのポイント

システム内製化の失敗を避けるためには、開発のゴールを明確にしたり段階的に開始したりといったことが必要です。

内製化を成功させる鍵となるポイントを解説します。

目的を明確にする

内製化の目的は、単に言語化するだけでなく、意思決定に使える状態まで具体化することが重要です。

例えば、コスト削減だけでなく「どの領域を内製化し、どの程度の削減を目指すのか」といった粒度まで整理しておく必要があります。また、スピード向上であれば、リードタイムや対応工数など、測定可能な指標に落とし込みます。

このように判断基準を明確にしておくことで、優先順位のブレを防ぎ、現場での意思決定がスムーズになります。

目的から逆算して最適な人材をアサインする

内製化の体制は、今いる人で組むのではなく必要な役割から設計することがポイントです。

まずは、テックリードやプロジェクトマネージャー、実装担当など、必要な役割を整理します。そのうえで、社内で補える部分と不足しているスキルを切り分けましょう。

不足している領域については、採用や外部リソースの活用も視野に入れながら体制を整えることが重要です。結果として、無理のない構成でプロジェクトを進めやすくなります。 

スモールスタートで段階的に拡張する

最初からすべてを内製化するのではなく、範囲を限定して始めることが効果的です。

例えば、影響範囲が小さい機能や改修から着手し、開発フローや体制を検証しながら進めます。その中で得られた知見をもとに、徐々に対象範囲を広げていきましょう。

段階的に内製化を進めることで、リスクを抑えつつ、現場に合った形を構築できます。 

必要に応じて外部の協力を得る

内製化の初期フェーズでは、設計レビューや技術支援など、外部の知見を活用することで、品質やスピードを担保しやすくなります。また、繁忙期や特定スキルが不足している場合に外部リソースを柔軟に活用することも有効です。 

必要に応じて外部の協力を得ることで、内製化の失敗を避けられます。

システム内製化の伴走支援なら株式会社BTMまで

システム内製化は外注費の削減や柔軟性の向上といったメリットがある一方で、目的設計やアサイン方法、進め方などを誤ると失敗につながるリスクもあります。特に初期フェーズでは、体制構築やプロセス設計に悩むケースも多く見られます。 

実際、「内製化を進めてみたものの思ったようにいかない」「かえって確認待ちや判断に戸惑う場面が増えた」といったお悩みを抱えている担当者も少なくありません。

また「内製化を進めたいが、何から着手すべきかわからない」と感じている担当者も多いのではないでしょうか。 

株式会社BTMでは、内製化の方針策定から体制構築、開発、開発プロセスの整備までを一貫して支援しています。 

現状の課題を整理したうえで最適な進め方をご提案し、実行フェーズまで伴走します。これから内製化を進めたい場合や、内製化に問題を抱えている事業者様はぜひ一度下記のフォームよりお問い合わせください。

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