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プロジェクト掛け持ちの限界はなぜ起きる?体制設計で防ぐ方法

プロジェクトの掛け持ちは、決して珍しいことではありません。限られた人員で複数案件を同時に進める体制は、多くの組織で当たり前になっています。

しかし、気づかないうちに負荷が限界を超え、品質低下や意思決定の停滞、特定メンバーへの依存といった問題を引き起こすケースも少なくありません。

本記事では、掛け持ちは何件が限界なのかという目安と、限界を迎える前に見直すべき体制設計のポイントを整理します。

プロジェクトの体制に限界を迎えている場合や、適切なアサイン体制を構築したい場合は必見です。

プロジェクトの掛け持ちが発生する背景

掛け持ちが発生する背景には、さまざまな要因があります。

まず挙げられるのが、エンジニアのリソース不足です。採用が追いつかない、急な案件増加に対応しきれないといった状況では、既存メンバーが複数案件を兼務することで乗り切ろうとするケースが少なくありません。

また、上流工程を担える人材が限られていることも理由のひとつです。要件定義や設計、プロジェクトマネジメントといった役割は経験値が求められるため、特定のメンバーに依存しやすくなります。その結果、複数プロジェクトを横断して担当する体制が常態化します。

さらに、利益の最大化を目的としたアサインもあります。稼働率を高めることで収益性を向上させようとする判断は、経営的には合理的です。しかし、短期的な最適化が積み重なると、結果として負荷が集中する構造を生むこともあるでしょう。

このようにプロジェクトの掛け持ちは現場の問題というよりも、事業成長や組織構造と密接に関わっています。そのため、体制設計の視点で捉えることが重要です。

プロジェクト掛け持ちの限界が招く3つのデメリット

アサイン体制が限界を超えると、クオリティーの低下やコミュニケーションコストの増加、若手が育たないといった問題が発生します。

思考力や品質の低下

プロジェクトを複数掛け持ちすると、タスクや業務の依頼が同時に重なりやすくなります。エンジニアやプロジェクトマネージャーは、限られた時間の中で複数の案件の対応を求められ、常に作業に追われる状況になるでしょう。

その結果、ひとつひとつのプロジェクトに十分な思考時間を確保できなくなります。設計の検討が浅くなったり、レビューの精度が落ちたりすることで、開発品質の低下や手戻りが発生します。

特にシステム開発では、企画・設計・プログラミング・デザインといった工程が連動しています。そのため、初期判断の甘さがプロダクト全体の品質を左右する可能性もあるでしょう。

短期的にはマルチタスクに対応できているように見えるかもしれません。しかしプロジェクトの過度な掛け持ちは、業務効率の低下を招く原因となります。

コミュニケーションコストの肥大

プロジェクトを掛け持ちすると、関わるチームやクライアントが増え、コミュニケーションの機会も自然と多くなります。案件ごとにミーティングが増える分、設計や開発といった本来の業務に充てる時間が削られていくでしょう。

さらに、案件によって情報伝達手段が異なると、重要な決定事項を見逃すリスクも高まります。重要な情報が分散し認識の齟齬が生まれることで、信用を失ったり案件が炎上したりする危険性もあるでしょう。

プロジェクトが炎上する原因について、詳しくは下記の記事で紹介しています。

関連記事:炎上プロジェクトの火消しとは?立て直し時の注意点を整理

若手エンジニアが育たない

掛け持ちが常態化している組織では、経験の浅いメンバーへのフォローが後回しになりがちです。

本来であれば、設計の意図を説明したり、コードレビューを通じて知識やスキルを共有したりする時間が必要です。しかし、複数プロジェクトの対応に追われる中では、育成よりもタスクを終わらせることが優先されます。

その結果、若手エンジニアやデザイナーは部分的な作業だけを担当し、プロジェクト全体を俯瞰する経験を積みにくくなります。掛け持ちにより短期的には業務が回っているように見えても、組織としての開発力やリソースの厚みは徐々に弱まっていくでしょう。

【チェックリスト】プロジェクト掛け持ちの限界サイン

プロジェクトの掛け持ちは、知見が増えたりスキルが向上したりするなどのメリットもあります。その一方で兼務体制が限界を迎えると、特定のメンバーに過度な負担がかかりプロジェクトが崩壊する危険性もはらんでいます。

特に、下記のような状態が継続している場合、体制の見直しが必要かもしれません。

  • 常に最優先のタスクを抱えている
  • エンジニアやプロジェクトマネージャーが同時に複数案件を担当している
  • ミーティングの時間が増え、作業に充てる時間が減っている
  • 案件ごとに共有方法が異なり、重要事項を追うのに時間がかかる
  • 決定事項を追いきれないことがある
  • 特定のメンバーに業務や判断の負荷がかかっている
  • 品質の問題や手戻りが後から発生することが増えている
  • なんとかプロジェクトが回っている状況が常態化している


これらのチェックリストに複数当てはまる場合、リソース配分やプロジェクト管理に課題を抱えている可能性があります。

掛け持ちすること自体が悪いのではなく、組織として適切なアサインができているかが重要です。一度、現状を客観的に整理することで、改善点が見えてくることも少なくありません。

プロジェクトの掛け持ちは何件が限界?

兼務が限界かどうかは件数ではなく、担っている役割で決まります。同じ3件でも、実装担当と最終意思決定者では負荷の質が異なるでしょう。

目安としては、次のように考えられます。

  • 実装担当:2~3件が目安
  • プロジェクトマネージャー:1~2件が目安
  • 責任者:原則1件


実装担当に関してタスクが明確に分解されており、設計や意思決定を伴わない場合、複数案件の並行は可能です。ただし、設計判断や顧客折衝を兼務している場合は、2件でも限界に近づくでしょう。

プロジェクトマネージャーの場合、単純なタスク消化ではなく優先順位の判断や関係者の調整など、判断業務を担います。そのため、案件の規模にもよるものの3件以上のプロジェクトを抱えた状態は限界を迎えているかもしれません。

責任者が複数のプロジェクトを掛け持ちすると思考の深度が浅くなりやすく、品質やスピードに影響が出る可能性があります。とくに重要案件が重なると、実質的に限界を超えてしまうでしょう。

プロジェクトの掛け持ちにより限界を超えるのは、個人の能力の問題ではなく設計の問題です。役割ごとの上限をあらかじめ決めておくことが、限界を回避する第一歩になります。

掛け持ちが限界を迎えたプロジェクトを放置すると起こること

掛け持ちが限界を迎えた状態を放置すると、品質のばらつきが目立つようになります。深刻化すればプロジェクトが炎上するリスクも高まるでしょう。

さらに見逃せないのが、特定のエースへの依存です。

判断や難易度の高い対応が一部のメンバーに集中すると、属人化が進行します。その結果、負担が偏った状態が続くだけでなく、その他のメンバーのスキルが向上しない構造が出来上がってしまいます。

偏ったアサイン体制はエースを疲弊させる原因になるでしょう。それと同時に他のメンバーは挑戦する機会を得にくくなり、成長の停滞も起こります。その結果、現場では不平不満や将来のキャリアに関する不安が生まれやすくなります。

この状態を放置すれば、会社への不満も蓄積され休職や退職が連鎖する可能性もあるでしょう。表面的にはまだ問題なさそうに思えていても、組織全体の体制や開発力が弱体化していくのです。

プロジェクト掛け持ちの限界を防ぐための体制設計

問題が起きる前に人員配置のルールを決定しておくことで、適切なアサインができるようになります。

役割と意思決定ラインを構造化する

掛け持ちが苦しくなる背景には、「誰が最終判断者なのか」が曖昧な状態があります。役割と意思決定ラインを整理するだけでも、調整コストは大きく下げられます。

また、エースに判断が集中している場合は、構造的な属人化が進んでいるサインです。体制を再設計し、責任と裁量を分散させることが重要になります。

負担の可視化とアサイン基準を明確にする

なんとなく回っている状態は、限界に気づきにくいものです。稼働率やタスク量、会議時間などを把握できる仕組みを作ることで、負担が偏っている兆候を捉えられます。

あわせて、アサイン基準を明確にすることで特定メンバーへの依存を防ぎやすくなります。例えば、下記のようにアサインのルールを設定しましょう。

  • 設計や最終判断を兼務している案件が増えた場合は、新規アサインを見送る
  • 難易度の高い案件には必ずサブ担当を置く
  • 同一メンバーが最終意思決定者となる案件は原則1つまでとする
  • 複数案件で優先順位の衝突が発生した場合は体制を見直す


なお、組織の開発体制を強化するという意味でも育成目的であえて分担する、レビュー前提で任せるなど、負荷と成長を分けて設計することも重要です。

アサイン基準を定義することで、その場限りの運用ではなく、再現性のあるマネジメントへと転換できます。

外部リソースの活用を前提とした体制を構築する

システム開発において、全ての工程を内製化するのではなく必要に応じて外部リソースを活用することを検討しましょう。

例えば、下記のようにその時々の状況に応じて外注化することが可能です。

  • 立ち上げフェーズのみ伴走支援を受ける
  • 繁忙期のみ増員する
  • テスト工程のみ専門チームに依頼する


工程や役割、フェーズ、期間といった単位で切り出せば、必要な部分のみを柔軟に補完できます。上手く外部人材を取り入れることで、適切なアサインができるでしょう。

プロジェクト体制を見直して掛け持ちによる限界を解消しよう

プロジェクトの掛け持ちは、必ずしも悪いものではありません。適切に設計されていれば、知見の共有やスキル向上につながる側面もあります。

しかし、負荷の可視化やアサイン基準が曖昧なまま運用されると、品質の低下や属人化、エースへの依存といった問題が徐々に表面化します。

重要なのは、限界を迎えてから対処するのではなく、現状の体制を一度客観的に整理することです。

役割や意思決定ラインの明確化、負荷がかかっていることを前提としたアサイン設計、必要に応じた外部リソースの活用などの視点を取り入れることで、耐える体制から調整できる体制へと変えていけます

アサイン状況の可視化やリソース配分の確認、一部工程の外部補完の可能性の検討まで、状況に応じたご相談をお受けしています。

「どこがボトルネックなのか分からない」
「本当に限界なのか判断できない」

現状が整理できていなくても大丈夫です。

ヒアリングを通じて、体制のどこに負荷が集中しているのかを一緒に可視化します。まずは状況の共有から、お気軽にご相談ください。

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