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ベンダーコントロールができない原因とは?失敗事例から改善策を解説

ベンダーコントロールができず、プロジェクトの進行に課題を抱える企業は少なくありません。

進捗が見えない、品質に偏りがあるなど発注側が状況を把握できない状態が続くと、プロジェクトの遅延や炎上につながる可能性もあります。

本記事ではベンダーコントロールができない原因を整理し、改善策を解説します。あわせて、失敗事例も紹介するのでベンダーとの関係性や進め方に悩んでいる場合は必見です。

ベンダーコントロールとは?

外部のベンダーに業務を委託する際、発注側が品質や進捗、コストを管理することをベンダーコントロールといいます。

ここでの管理とは単なる監督ではなく、意思決定と状況把握を通じてプロジェクト全体を適切にコントロールする役割のことです。

この役割が機能しない場合、認識のずれや対応の遅れが積み重なり、インシデントの発生やプロジェクトの炎上といったリスクが高まります。ベンダーコントロールとは、安定したプロジェクト運営に欠かせない重要な考え方です。

ベンダーコントロールができない原因

ベンダーコントロールがうまく機能しない背景には、プロジェクトの進め方に原因があるケースが少なくありません。

要件の曖昧さや丸投げの体制が継続すると、発注側の主導権が失われていきます。

要件や目的が曖昧なまま進んでいる

ベンダーコントロールが機能しない大きな要因の一つが、要件や目的が明確に定義されていない状態でプロジェクトが進行していることです。

そもそも「何のために開発するのか」「どのような状態になれば成功なのか」が言語化されていない場合、ベンダー側は判断の基準を持つことができません。その結果、指示された内容をそのまま実行するだけの受け身の対応になりやすくなります。

こうした状況では、成果物に対する認識の相違が生じやすく、手戻りや修正が繰り返されることになります。最終的には、発注側がプロジェクトの状況を正しく把握できなくなり、コントロールが難しくなっていきます。

役割分担が曖昧になっている

発注側とベンダーの役割や責任範囲が明確になっていないことも、コントロールが機能しない原因の一つです。

例えば、仕様の最終判断を誰が行うのかが曖昧なまま進んでいたり、品質をどこまで担保するのかといった責任の所在がはっきりしていなかったりするケースは少なくありません。また、進捗や課題を誰が主体的に管理するのか決まっていない場合も、プロジェクトの統制が取りづらくなります。

このような状態では問題が発生した際に判断が遅れやすくなり、結果として対応の遅れにつながります。ベンダーコントロールは役割と責任が明確であることを前提に成り立つため、この前提が崩れていると適切なマネジメントは機能しません。

ベンダーに丸投げしている

ベンダーに業務を依頼すること自体は一般的ですが、意思決定まで任せきってしまう状態には注意が必要です。

要件定義や仕様の検討をベンダー任せにしていたり、成果物に対するレビューや決定を十分に行っていなかったりすると、プロジェクトの主導権はベンダー側に移っていきます。その結果、発注側は進捗や課題を十分に把握できなくなり、気づいたときには状況が大きく悪化しているケースも少なくありません。

本来、ベンダーコントロールとは業務を委託しながらも発注側が進捗や品質を把握し、適切に判断できる状態を維持することです。丸投げの状態では、その前提自体が成立しなくなるでしょう。

発注側の技術や知識が不足している

ベンダーコントロールを適切に行うためには、発注側にも一定の知識が求められます。

例えば、提示された見積もりや提案の妥当性を判断できない場合、ベンダーの意見をそのまま受け入れるしかありません。また、技術的なリスクやプロジェクトの進め方に対する理解が不足していると、適切なタイミングで意思決定を行うことも難しくなるでしょう。

このような状態では、表面的にはプロジェクトが進んでいるように見えても、実態としてはベンダーに依存している状態に近くなります。結果としてコントロールできない状態に陥ってしまいます。

コミュニケーションが不足している

関係者のコミュニケーション不足も、ベンダーコントロールが機能しない原因です。

打ち合わせの頻度が少なかったり、情報共有が遅れたりすると、要件や認識にずれが生じやすくなります。そのままプロジェクトが進行すると、後から大きな手戻りやトラブルにつながることも少なくありません。

また、コミュニケーションが不足していると、課題やリスクの早期発見も難しくなります。ベンダーコントロールは継続的な対話を前提とするため、定期的な情報共有と認識合わせが不可欠です。

ベンダーコントロールができない際に起きる問題

適切にベンダーコントロールができない場合、納品の遅れなどさまざまな問題が発生する可能性があります。

実際に現場で起きる問題について、整理して解説します。

社内に知識が蓄積されない

ベンダー依存の状態が進むと、社内にノウハウが残りにくくなります。

要件定義や設計、意思決定のプロセスをベンダー任せにしている場合、なぜその仕様になったのかといった背景が社内に共有されません。その結果、プロジェクトが終わっても知見が蓄積されず、同じような課題を繰り返すことになります。

開発やシステムに関する知見が身につかないため、ベンダーに判断を委ねる依存状態が加速するでしょう。

プロジェクトの遅延につながる

発注側でコントロールできない状態は、遅延のリスクを高めます。

進捗や課題を正確に把握できていない場合、問題が小さい段階で対処できません。そのまま進行すると、問題が顕在化したタイミングで一気に対応が必要になります。

その結果、スケジュールは崩れ、関係者に負荷が集中する状況に陥ります。炎上プロジェクトにつながる典型的な流れともいえるでしょう。

関連記事:プロジェクトが炎上する原因3選

品質の低下や手戻りが発生する

ベンダーコントロールが不十分な場合、成果物の品質にも影響が出ます。

要件や認識が揃っていないまま開発が進むと、完成したアウトプットが期待と相違するケースが増えます。その結果、修正や作り直しが発生し、手戻りが常態化してしまうでしょう。

レビューや意思決定の精度が低い状態では、品質を安定させることは難しくなります。

コストが増加する

発注側が適切にベンダーを管理できていない場合、開発や運用コストが増加する恐れがあります。

見積もりの前提や内訳を十分に理解できていないと、その金額が妥当なのか判断できなくなります。その結果、提示された内容をそのまま受け入れるしかなくなり、コストのコントロールが効かなくなるでしょう。

ベンダー依存の状態が続くと、適正なコスト判断ができなくなり、不要な支出が増えていきます。

関連記事:ベンダーロックインの原因と対策|依存を防ぐ進め方とは?

ベンダーコントロールができていない事例

ベンダーコントロールの失敗例としてよく挙げられるのが、ベンダーからソースコードを開示してもらえず、乗り換えできないケースです。

乗り換えに関する問題の多くは、初期段階でシステム構築をベンダーに丸投げしていたという共通点があります。契約時に成果物の権利やソースコードの扱いを明確にしないまま進めた結果、システムの中身がブラックボックス化してしまいます。

ブラックボックス化すると別のベンダーへ切り替えようとしても、既存システムの構造や仕様を把握できません。引き継ぎが困難なため、現実的に乗り換えのハードルが非常に高くなります。

結果として、現行ベンダーに依存せざるを得ない状況が生まれます。不満があっても改善を依頼するしかなく、コストや対応スピードに対する交渉力も弱くなるでしょう。

さらに、改修のたびに想定以上の費用や時間がかかるケースも多く、プロジェクト全体の柔軟性が失われていきます。最終的には、システムが事業の足かせとなり、意思決定のスピードにも影響を与えかねません。

ベンダーコントロールができない状態を改善する方法

発注側が状況を正しく把握し、判断できる状態になれば、プロジェクトは安定して進めやすくなります。

ここではベンダーコントロールできない状態を改善する具体的な方法を解説します。

要件定義の精度を高める

最初に注力したいのは、要件定義の精度を高めることです。

開発の目的や成果物のイメージ、成功基準が曖昧なままでは、ベンダーとの認識に齟齬が発生します。初期段階でどこまで具体化できるかがその後の進行を大きく左右します。

  • プロジェクトを通して実現したいこと
  • どの状態をもって完了とするのか

 

これらは、要件定義の段階で明確にしておきましょう。

プロジェクトメンバーとして扱う

ベンダーを外部の委託先としてではなく、プロジェクトメンバーとして扱うことも重要です。

同じチームのメンバーとして接することで、課題やリスクの共有がしやすくなります。関係性を変えるだけでも、プロジェクトを円滑に進行しやすくなります。

責任の所在を明確にする

意思決定や責任の所在を明確にすることも欠かせません。

誰が最終判断を行うのか、どこまでがベンダーの責任なのかが曖昧なままでは、問題が発生した際の対応に遅れが出ます。責任の所在が明らかになっていない状態は、判断の先送りや認識の相違が積み重なるでしょう。

あらかじめ役割と責任を整理し、迷いなく意思決定できる状態にすることが重要です。

進捗を可視化する

プロジェクトの状況を正しく把握するためには、進捗の可視化が必要です。

口頭での報告や断片的な情報だけでは、作業状況を正確に捉えることはできません。タスク単位で進捗状況を整理し、誰が見ても現状がわかる状態にしておきましょう。

進捗が可視化されていれば、問題の早期発見にもつながり対応のスピードも上がります。

情報共有のルールを統一する

情報共有のルールを統一し、認識を揃えることも重要です。

ツールやタイミングが統一されていないと、必要な情報が適切に伝わりません。

あらかじめ報告時のフォーマットを決める、定期的な会議を設定するなど、情報共有のルールを決めておけば情報の流れが整理され無駄なコミュニケーションも減らせます。

発注者がルールを定めることで、プロジェクトを適切に管理できます。

ベンダーコントロールを行い円滑にプロジェクトを進行しよう

ベンダーコントロールとは、システム開発を外部に委託しながらも発注側が品質や進捗、コストを管理することです。

適切にベンダーコントロールを行えば、プロジェクトの状況を正しく把握できるようになります。納品物の遅延や品質低下、コスト増加などのリスクを抑えやすくなるため、安定したプロジェクト運営につながるでしょう。

ただし、進め方や体制に課題がある場合、社内で解決するのは容易ではありません。そのような場合は、外部の知見を取り入れることも有効です。

株式会社BTMでは、ベンダーコントロールに関する課題整理から改善までを支援しています。ベンダーとの進め方や関係にお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。

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