
ITプロジェクトが失敗する5つの原因とは?92名の現場データから解説
ITプロジェクトの失敗は決して珍しいものではありません。 内製・受託・SES・アジャイル開発など開発手法を問わず、遅延や炎上、成果が出ないといった状況は、多くの企業で見られます。
プロジェクトの失敗は、コスト超過やビジネス機会の損失にもつながる問題です。さらに、現場の疲弊や組織への不信感も招きかねません。
本記事ではSES事業を展開する株式会社BTMが、実際の開発現場で稼働するエンジニア92名へのアンケートデータをもとに、ITプロジェクトが失敗する原因と上流工程で見直すべきポイントを解説します。
ITプロジェクトの進め方や要件定義、プロジェクトマネジメントに課題を感じている場合は、ぜひ参考にしてください。
目次
現役エンジニアに「ITプロジェクトの失敗原因」をアンケート調査
本記事の分析は、以下のアンケート内容をもとにしています。
- アンケートの回答者:株式会社BTMの現役SESエンジニア
- アンケートの回答数:92
- 主な調査項目:プロジェクトが失敗する原因など
ITプロジェクトが失敗する原因ワースト5

多数のITプロジェクトに参画してきた自社SESエンジニアへの調査結果から、プロジェクトの失敗につながりやすい原因ワースト5を紹介します。
①コミュニケーション不足
ITプロジェクトが失敗する原因として最も多く挙げられたのが、コミュニケーション不足です。
ここで言うコミュニケーション不足とは、単に会話量が少ないという意味ではありません。 情報の流れが分断された状態を指します。
- 要件や背景が共有されていない
- 決定事項が現場まで正しく伝わらない
- 誰が何を判断したのか不明確
とくにSES案件では、コミュニケーションが複雑になりやすく情報が途中で欠落・歪曲されるリスクが高まります。
結果として認識のずれが積み重なり、プロジェクトが失敗することがあります。
②非現実的なスケジュール
開発現場の負担を考えない非現実的なスケジュール設定も、ITプロジェクトが失敗する原因になり得ます。
具体的には下記のような例が挙げられます。
- 要件が固まっていないのに開始日が決まっている
- 開発の難易度を考慮せず、納期だけが先に決まる
- 調整、検証、手戻りの時間が考慮されていない
このような計画では、優秀なエンジニアが集まっていたとしてもプロジェクトの成功は容易ではありません。
実際の開発現場では、準備、仕様理解、チーム連携など目に見えないコストが発生します。これらを考慮しないスケジュールは、 品質低下や炎上を引き起こす要因となる可能性もあるでしょう。さらに、現場のエンジニアを疲弊させる原因にもなります。
③要件変化の頻発
システム開発などITプロジェクトでは、途中で要件が変わることはよくあります。問題なのは、判断基準が整理されないまま変更が続く場合です。
要件変更のたびに作業のやり直しや調整が発生し、工数が増えスケジュールが崩れやすくなります。
その結果、現場の負担が増え、品質が低下するリスクも高まる可能性があります。
④スキルのミスマッチ
スキルのミスマッチもITプロジェクトが失敗する要因として、よく挙げられます。
- フェーズに合わない人材配置
- 必要なスキルが曖昧
- 技術と人材の選定が嚙み合っていない
上記は、 要件定義や体制づくりといった上流工程の段階で回避が可能です。
プロジェクトで実現したいことを整理し、各フェーズで必要な技術や役割を明確にしましょう。その上で何ができる人材が必要かを具体化します。こうすることで、スキルのミスマッチは防ぎやすくなります。
⑤不明確なチーム体制
最後に、責任の所在が曖昧なチーム体制も問題です。
- 誰が意思決定者なのか不明
- 現場に裁量がない
- 判断に時間がかかる
このように、役割が曖昧なチーム体制では開発スピードも品質も保持できません。
とくにSES案件では責任はあるものの権限がないという状況に陥りやすく、問題が表面化しにくくなります。その結果、小さな違和感が放置され、大きな失敗につながることがあります。
ITプロジェクトでよくある失敗パターンと共通する構造
ITプロジェクトが失敗する原因は、一見するとコミュニケーション不足や要件変更など個別の問題に見えます。しかし、複数のプロジェクトを見てみると、共通する失敗パターンが存在します。
それは、 プロジェクト全体の設計や管理が曖昧なまま進行していることです。
- 目的やゴールが共有されていない
- 成功の定義が曖昧
- 判断基準や意思決定者が決まっていない
このような状態でプロジェクトを開始すると、失敗のリスクは高まります。
多くの場合、問題は実装フェーズで表面化するものの、原因はその前段階にあります。
本来の要件定義は仕様を決める作業ではなく、プロジェクトの目的、スコープ、判断ルールを明確にし、関係者で合意するプロセスです。この工程が機能していないと、認識の相違が積み重なり、遅延や品質低下といった失敗につながります。
つまり、多くのITプロジェクトは実装で失敗するのではありません。要件定義とプロジェクトマネジメントの段階で失敗の構造が作られているのです。
ITプロジェクトの失敗を防ぐために最初にやるべきこと
ITプロジェクトを成功に導くためには、初期段階で プロジェクトの目的、成功条件、実施範囲を定め、関係者で合意することが重要です。
要件定義が曖昧なまま進行すると、関係者それぞれの理解にずれが生じ、判断や調整に時間がかかるようになります。その結果、要件変更が頻発し、スケジュール遅延や品質低下といった問題が起こりやすくなるでしょう。
一方で要件定義の段階でプロジェクトの前提と判断軸が整理され、関係者の合意が取れていれば、途中で想定外の事態が起きても冷静に対応できます。
実装フェーズではなく、上流工程で「何を決め、何を共有したか」によってITプロジェクトの成否はほぼ決まっていると言っても過言ではありません。
ITプロジェクトの失敗を防ぐためのチェックリスト
ITプロジェクトを成功させるためには、要件定義が「判断と合意の工程」として機能しているかを確認しましょう。
以下のチェックリストは、要件定義が単なる作業で終わっていないか、プロジェクトの前提や判断軸がきちんと機能しているかを確認するためのものです。
すべてに当てはまる必要はありません。しかし複数当てはまらない場合、そのプロジェクトは失敗に近づいている可能性があります。
- プロジェクトの関係者全員が、決定事項と未定事項を把握しているか
- 発注側が丸投げせず、意思決定に関わっているか
- 現場が技術的な改善や新しいことに挑戦できる余地があるか
- エンジニアからの提案や懸念が、前向きに検討される仕組みがあるか
- 役割と責任、最終的な判断者が明確になっているか
- 課題やリスクを早く報告した方が評価されるようになっているか
これらが十分に機能していない場合、個々の問題に対処する前に、要件定義やプロジェクト設計そのものを見直しましょう。
ITプロジェクトの失敗原因がわかれば、成功に近づく!
ITプロジェクトが失敗する原因は、特定の人や手法にあるわけではありません。多くの場合、要件定義が整理されないままプロジェクトが進行していることが問題です。
要件定義を、資料を作る工程ではなく「何をやるか・やらないかを決め、関係者で合意する場」として機能させるだけで、進行の安定性や意思決定のスピードは大きく変わります。
しかし、複数の関係者がいる中で要件定義を制度高く行うのは容易ではありません。
プロジェクトが思うように進まず要件定義や体制に不安を感じている場合、プロジェクト全体を見て前提や判断を整理する視点を入れることが重要です。
株式会社BTMではITコンサルタントとして、要件定義の整理から開発、運用・保守まで幅広くご相談を承っています。
第三者の視点からプロジェクト全体を把握し、前提や判断がどこで曖昧になっているのかを一緒に整理しますので、まずはお気軽にご相談ください。
